|→ 発症のメカニズム
◆ 男にも更年期障害やそれによる不定愁訴がある
更年期障害と言うのは、これまで女子特有の悩みと見做され、時には女性を揶揄する言葉でもありました。
ところが今では「男の更年期」や「男の更年期障害」と言う言葉が知られる様になりました。
症状としては、不定愁訴、性機能障害、抑うつ、前立腺肥大、など個人差が大きいものの、高齢男性には大なり小なり症状が出てきます。
これは医学会だけで無く、不通の人の生活の中でも数年前から、男にも更年期障害が有るという事が話題となって来ています。
医学会では貴重な課題として取り上げられ、検証のためにシンポジウムや医学雑誌の特集などが企画されて来ました。
障害ついて、特に勃起障害などについては、人前でなかなか悩みを打ち明けられないものです。
この章をご覧になって、専門家の診察を受けるかどうかの参考にして下さい。
40代、50代の男性が、自分の更年期を感じる時とは、どの様な体調や心の状態を指しているのでしょうか?
たとえば、家を出る時ふらついた、腰から背中にかけて筋肉が凝っている、何かわからない不安感に襲われる、仕事にも集中できない、・・・。
この様な症状は、以前から言われてきた女性の不定愁訴と良く似ています。
不定愁訴とは文字通り、胃が痛い、頭痛がするなどと不定な症状を訴えても、その器質的原因が解らないという症状です。
胃が痛いと言って検査をしても、胃の何処にも悪いところは無く、医師も頭を抱えてしまう場合を指します。
不定愁訴は、訴えがいろいろなところに出ます。顔が火照ったり、汗をかきやすくなったり、動悸がし始めたり、頭痛に襲われたりします。
これ等はどれも更年期障害の前ぶれの症状です。
その他、目眩がしたり、睡眠障害と言った精神神経症状などが起きてきます。
特に睡眠障害は、さらに様々な症状を引き起こします。集中できない、冷や汗をかく、息が止まってしまうのでは無いかと言った不安感、などの症状にも襲われます。
また、肩凝り、腰痛、関節痛といった運動器系の症状なども起きてきます。これらは一貫した症状では無く、あちこちの原因不明の悩みの複合となっています。
この様な不安定な症状を不定愁訴といい、まとめて不定愁訴症候群と言われてきました。
それが男性にも有るということが、医学会でも認知されつつあり、それを大まかに言うと「男の更年期」「男の更年期障害」という事になります。
男性の場合、特に訴えで多いのは、性生活の変化で、ある日突然勃起障害(ED)になったりします。発症率は40代、50代で約30%にも上ります。
しかし、数年後のある日突然EDが解消される事もあります。心の病は勃起不全と密接な関係がある為、更年期で不定愁訴を伴う心の病を患っていたものが、それを克服すると同時に勃起不全の解消されるためです。
男性更年期には特徴的な症状が8個あります。早速、自身でチェックしてみて下さい。
● 男性更年期の8つの症状
1.性機能障害:性欲低下、勃起不全など
2.うつ症状:疲労感に襲われ易い、不安感、睡眠障害など
3.循環器系症状:のぼせ、ほてり、動悸
4.感覚器系症状:頭痛、目眩、耳鳴り
5.運動器系症状:肩凝り、筋肉痛、関節痛
6.自律神経系症状:汗をかきやすい、口の中が乾き易い
7.消化器系症状:食欲不振、便通異常、腹痛
8.泌尿器器系症状:頻尿、残尿感、尿の後切れの悪さ・勢い低下、会陰部不快感
上の8個は完全では有りません。男の更年期はまだまだ認知や研究をこれからして行こうと言う段階ですので、1〜8の何個に該当したら更年期だ、というものでは有りません。
今の段階では男性更年期の症状は8個に分類されている、と言うことです。
男性更年期をチェックする方法はいろいろ有ります。簡単にタイトルだけ紹介しますので、興味のある方は検索してチェックして見て下さい。
このサイトのEDチェック表も使えます。
・モーリーの10項目質問紙
・ハイネマンの加齢男性症状調査表
・小山式簡易更年期指数 ⇒ このページ下部
・国際勃起機能スコア
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◆ 男性更年期障害の特徴と症状
女性の更年期障害を共通するのは動悸・肩凝り・のぼせ・顔の火照り・手足の痺れ・頭痛・発汗・ひえ、など不定愁訴と呼ばれるものです。
精神的には、倦怠感、無気力、不眠、うつ傾向のほかに、自律神経失調症などの症状も見られます。
年齢不相応に性機能が低下するのは鬱病でも見られます。鬱病では、男性更年期によるものと類似していますので、慎重な診察が必要です。
性機能の低下を測るバロメータは「朝立ち」ですが、40代、50代で月1回位では男性として健康とは言えません。
しかし、これも鬱病でも起こりますので、早計に男性更年期とは決め付けられません。慎重な診断を要します。
次の関心事は、どのような性格の人が更年期障害になり易いかと言うことになりますが、性格因子による分析があります。
人間の行動パターンにはタイプAとタイプBがあります。これはフリードマン、ローゼンマンという内科医が分析して分類したものです。
・タイプA
責任感が強く、几帳面で、せっかちで、競争心が強く、常に成功への強い要求を持っている人
・タイプB
ゆっくりマイペース型で、精神面で安定感を持ち続けられる人
タイプAの人は狭心症や心筋梗塞になる確率が高くてタイプBの4倍以上と言われます。ストレスを受け易く動脈硬化を進行させ易い人と言えます。
タイプAの人が更年期障害になり易い傾向にあると考えられています。
更症状は精神症状と身体症状に大別できます。
○ 男精神症状
鬱病とオーバーラップするところが多いので、診断に基づいて慎重に見極める必要があります。
いちがいに更年期と断定することは危険ですが、症状には鬱病を中心とする精神症状が色濃く見られます。
中高年のうつ病は精神科では重要な問題です。働き盛り中高年男性が黙りこくったり、うつうつとした表情で仕事や家庭生活に向かっているという事では、周囲に影響を与えます。
本人だけでなく周りの人にも悪い影響を与えます。
うつ病と、かなりの点をオーバーラップしています。またうつ病は時間経過にしたがって症状がうつ状態になってゆきます。
下の順番でうつ状態へと遷移してゆきます。
落胆⇒やる気喪失⇒落ち込み⇒うつ状態⇒自分への苛立ち⇒不安感やあせり⇒絶望感
絶望感をもたらすところまで来ると、もはや男性更年期というよりもうつ病に陥っていると判断してもやむを得ないと思います。
しかし、上の遷移は、男性更年期障害によることもあるのです。この様なケースでは男性更年期障害が治ると、嘘の様に以前通りにやる気が起こり有能社員や頼れる父親として蘇ることがあります。
○ 身体症状
身体面に表れてくる症状は、精神症状に比べて比較的自覚しやすいものです。
・発汗
特に暑いわけでも無いのに汗をかく。まだ春先の肌寒い季節なのに、ちょっと散歩をすると汗をかく。こういう人には更年期の可能性が含まれています。
・顔の火照り
暑さを感じていないのに顔が火照ることがあります。女性でも男性でも更年期の特徴の1つです。
・動悸
特別な理由も無いのに胸がドキドキしてくる症状です。循環器科で診察を受けても、心筋梗塞、狭心症、大動脈瘤などの異常は見つかりません。
・睡眠障害
身近に自覚できる事で「寝付きが悪い」「眠りが浅い」「熟睡感が無く翌日に疲れが残ってしまう」。
これら睡眠障害の原因の1つに男性更年期の問題が関与している場合があります。
睡眠障害の原因は、脳の松果体で作られるメラトニンと言うホルモンが減少することにあります。
メラトニンは15歳から減少し始めて、50歳代では最大時の半分以下になります。
・頻尿
昼夜問わずトイレに何回も通う頻尿。前立腺肥大症という中高年特有の症状でもあります。頻尿から更年期を見出す症例もあります。
・目眩、耳鳴り
一般には耳鼻科を受診すると思います。しかし男性更年期から症状が出ている目眩や耳鳴りは、耳鼻科で聴力や平衡感覚などの検査を行なっても、明らかな異常が認められません。
運の良い人は、耳鼻科から神経内科を経て精神化へ回され、そこで原因が解ることがあります。
老人性難聴にともなう耳鳴りと診断された方は、一度思い切って精神化で診察を受けてみることも必要ではないかと思います。
中高年以降で原因不明の耳鳴りに苦しんでいる人が実に多いのです。
・肩凝り、神経痛、関節痛
女性の場合と同様、骨密度との関係があり、中高年の男性の場合は、更年期の可能性があります。
テストステロン(男性ホルモン)の値を測定して貰ってください。
・疲れ易さ
中高年男性が良く使う言葉は「最近、疲れ易くなった」ですが「もう歳だから仕方ない」と諦めてしまう「疲れ易さ」もあります。
その程度が激しい場合は、男性更年期の可能性があります。
上の8つの症状が直ちに男性更年期の症状とは限りませんが、この事を認識して受診するかどうかが重要なポイントとなります。
この意識が全く無いと、あちこちの診療科を訪ねまわると言う受診の旅にでてしまい、心身へ余計な負担をかける事になります。
特に原因が見当たらないのに耳鳴りで苦しんでいる中高年男性は、思い切って精神化で診察を受けてください。是非!!
男性更年期には色々な診断法があります。
簡易な「モーリーの項目質問紙」や詳しい「ハイネマンの加齢男性症状調査表」が有名です。
但し、やや欧米型である為、日本人には「小山式簡易更年期指数」がおすすめです。
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下の表で当てはまる箇所をマウスでチェック後、最下部のボタンをクリックして下さい。
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