男性更年期障害の診療窓口

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男性更年期障害

男性更年期障害に対する診療窓口と診療内容

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男性更年期障害の診療は主に次の4科で行なっていますが、それぞれアプローチが違っています。

概略を紹介しておきます。


精神科

泌尿器科

心療内科

心理カウンセラー



◆ 精神科の診療内容


精神科の診療内容

男性更年期障害の精神症状としてうつ傾向が有りますが、注意すべき点は、中高年になると、仮面うつ病に罹りやすいということです。


それは、中高年の男性には心理社会的なストレスが認められるからです。


家庭内のストレスと職場のストレスを考慮する必要があります。


家庭内のストレスとしては、子供の進学や就職、教育費の負担やローン返済などの金銭面、親の介護などが挙げられます。


職場のストレスとしては、過密なスケジュール、上下の板挟みによるサンドイッチ症候群、昇格・降格・転勤・出向などの人事異動によるストレス、燃え尽き症候群、上昇停止症候群、不況、リストラ、倒産などによるストレスが考えられます。


この様に、うつ病を除外しないでいきなり男性更年期障害と断定することは危険です。


男性更年期障害かうつ病か、またはその合併かを考慮する必要があります。

男性更年期障害に対する精神科の主な治療法は、カウンセリング療法と向精神薬療法があります。


それぞれ、患者の立場としてザット紹介します。


1.カウンセリング療法


・性的パートナーの事を含め、どんな事でも話す

・共感を持って、話を聞いて貰う

 話を聞いて貰うだけで気持ちがすっきりします。共感を持って貰うことが重要です。

・病気の受容

 男性が40代や50代にもなれば、誰にでも男性更年期の症状が起きてきます。

・頑張らない事、気にしない事


以上が治療法ですが、医療者はすべてを心得ていますので、余計な先入観を捨てて受診して下さい。


2.向精神薬療法


向精神薬の中では、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬が処方されます。この三種の向精神薬が症状に応じて処方されます。

この三種の向精神薬の詳細は割愛します。


日本では、最近の年間自殺者が3万人を超えています。とくに中高年の自殺者が急増しています。うつ病と並んで男性更年期の早期発見と早期治療は、自殺防止の為にも重要な課題となっています。


精神科では、器質的な疾患が認められる場合には、泌尿器科や関連する専門科と連携しながら治療に当たっています。



◆ 泌尿器科の診療内容


泌尿器科の診療内容

泌尿器科は男性更年期の専門的な診療科であり、様々な診断法と治療を行なっています。


先ず男性更年期の診断には、明らかな症状と血中のフリーテストステロンの低下とが認められることが必要です。


診断は以下の様な順序でなされます。


1.臨床症状:次の症状が認められるかどうか


・精神症状(抑うつ、いらだち、不安、精神過敏、無気力、精神的疲労感)

・身体症状(体調不良、腰・背部痛、関節痛、筋力低下、発汗、ほてり、睡眠障害)

・性機能症状(性欲低下、勃起障害など)


2.テストステロン測定


ここは詳細を「男性更年期障害の治療技法」に解説しています。

以上が診断法です。


治療法には、男性ホルモン補充療法が最も普及している療法です。

詳細を「男性更年期障害の治療技法」に解説しています。



◆ 診療内科の診療内容


診療内科の診療内容

男性更年期では、心身両面様々な症状が見られます。そのため、心療内科を受診する人も多いといえます。


男性更年期になると、性欲低下、勃起障害、などの性機能障害だけでなく、筋力低下、内臓機能の低下、自律神経失調症などを伴う全身的な身体機能の低下を伴うようになります。


また、心理的には、40代から50代になると、ミドルエイジ・クライシスと呼ばれ、思春期と並んで不安定な精神状態の時期を迎えます。それらがうつ病や不安感となって表れてきます。


初老期ないしは退行期ともよばれ、脳に初期の加齢変化もみられることがあります。

心療内科では、以上の観点から男性更年期に対する治療が行なわれます。


1.性機能障害


性機能障害は、具体的にはEDを含む性的興奮障害などで、その中でもEDは心身ともに大きな影響を与えます。


EDの原因には、加齢に伴う内分泌因性、血管因性、精神因性のほか、脳の性中枢機能の低下によるもの、さらには心因性によるものがあるとされています。


2.身体症状、自律神経失調症状


男性更年期になると、筋肉、関節、骨格系の機能低下、内臓機能低下、自律神経失調症などの身体症状があらわれてきます。


この自律神経失調症が、多くの人に、顔の火照り、発汗、動悸、頭痛などを引き起こします。ほかには消化器系、呼吸器系などの症状があらわれてきます。


3.精神神経症状


これは個人差の大きい症状で、大きく分けると不安障害性症状と気分障害性症状とになります。

不安障害性症状にはイライラ感、不安、緊張感、情緒不安定、心気症などがあります。


気分障害性症状にうつ状態があります。この症状は、抑うつ気分、抑うつ思考、意欲行動の減退などに分けられます。


抑うつ気分というのは憂鬱な気分に支配されることで、抑うつ思考というのは、マイナス思考で考えてしまうことです。意欲行動の減退は、行動に移そうとしても踏ん切りが付かない状態が続くことを指しています。


4.心理的側面の課題


発達心理学的観点からみると、思春期と並ぶ人生の危機の時期といえます。これがミドルエイジ・クライシスとよばれるものです。

この年代になると社会的責任によってストレスが増大する一方で、身体的には徐々に退行してゆきます。


そのギャップを埋めるための飲酒・喫煙量の増加、運動量の減少は、高脂血症や高血圧などの生活習慣病を引き起こす原因となります。

男性更年期では、この様な心理的クライシスによるものも無視できません。


5.EDの衝撃


男性更年期で最も大きなダメージを与える症状はED(勃起障害)でしょう。

ED(勃起障害)になると、男性性、父性性の低下がみられます。男性に性役割への危機感を与えることになります。


その結果、活力のエネルギーを失い、この事が社会低なリーダーシップを減少されることにも繋がります。


また自分の役割は何か、一生とは何か、何であったのか、などの悩みを生じ、落ち込み、無気力となることにも繋がります。


これは、EDの衝撃ともいえるものです。


◇治療法


診療内科では心身両面への全人的治療が試みられます。

・薬物療法(抗不安薬、抗うつ薬、自律神経調整薬)

・カウンセリング

・生活療法

・ホスホ・ディ・エステラーゼ5阻害薬(バイアグラ、レビトラ、シアリス)

・男性ホルモン補充療法



◆ 心理カウンセラーの診療内容


心理カウンセラーの診療内容

心理カウンセラーは、心の内面に潜む症状の原因を突き止めて、患者さんとの話し合いを中心に治療を進めます。

一般論では具体性が欠けるため、患者さんを想定して話を進めます。患者さんをXさんと呼びます。


Xさんが診療室を訪ね、次の様に訴えました。


・身体的症状

 慢性的不眠、軽い尿漏れ、息切れ、頭痛、肩凝り、疲れやすい、性機能の衰え


・心理的症状

意欲の減退、集中力の低下、もの忘れ、不安、イライラ、のぼせ、自身消失、抑うつ気分


1.Xさんの経歴

カウンセラーはまず、Xさんのこれまでの生涯を語って貰うことから始めます。

それによるとXさんは、学年でもトップの成績をおさめていて、就職後も毎朝数紙の新聞を読んでから出社していました。


会社では主任、係長と昇進し、同僚や上司からの評価も高く、抜擢されて課長になっています。

異変が起きたのは40歳代後半頃からです。尿をし終わった後、尿漏れに気が付き、下着を濡らした事にショックを受け、以後は気を使う様になります。


49歳で本社勤務になり、単身赴任するようになりました。

単身赴任後1回目の帰宅の時、性交渉を試みるも、逆に萎縮して全く不能に終わったと言います。


この事はXさんに大きなショックを与えます。勃起不全のまま帰宅時間を過ごし、その後の帰宅でも不全のまま終わり、その頃から仕事への自身や集中力を失い、頑張ろうとしても肩凝りや腰痛、疲れやすさが感じられて、ますます気力が衰えてゆきます。

その後XさんはEDの事を知り、泌尿器科で受診するも器質的(身体的)には異常なしと言われ、カウンセリングを受けるように指示されたのです。


2.治療法


第一回目の面接では話を聞く事に終始して呉れます。その話の中から、例えば、原因が性行動への不安から来ている事、性行動は焦れば焦るほど悪化する事を指摘されます。

治療には奥さんの協力が必要なことが告げられ、2回目からは奥さん同伴に同意します。


こうして2回目からは、夫婦の了解を得て治療が実施されます。

この後の具体的進行は割愛します。