テストステロン

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男性更年期障害

男性にとって極めて重要なテストステロンの働き

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◆ テストステロンの働き


テストステロン

男性の性機能を司る男性のテストステロン、2種類の異なった働きを持っています。

1つ目は、性器・生殖器を組織し発達させる役割で、2つ目は、生涯を通じて体と心、あるいは脳の活動を指揮する役割です。


胎児は。最初は中性として出現します。それが男児と女児に分かれるのは男性のテストステロンの影響によるものです。

男女の違いを遺伝子の関係から見て見ます。


個々の細胞の中には染色体があり、その中に二重ラセン構造のDNAがあります。遺伝子の発現は、二重のヒモがほどけて、1本のヒモになることから始まります。これはRNAと呼ばれます。


このRNAが細胞核の外に出て細胞の本体に移り、そこで構成素材分子を引き寄せて、それらを使って新しい蛋白質の分子を作り上げることから身体の構造が出来始まります。


こうして次第に身体の各構造が出来上がってゆきます。

この時男性のテストステロンは様々な役割を果たします。


細胞に信号を送って筋肉を作らせ、赤血球を作らせ、脳の中の神経伝達物質を放出させ、男子の場合は精子を作らせます。

胎児が子宮内に出現した頃から、男性のテストステロンの役割は始まっています。


最初は中性として存在する胎児が男性のテストステロンの働きによって男児あるいは女児へと決定されて行きます。

性はX染色体とY染色体とによって決定されますが、女児は2個のX染色体を持ち、男児はX染色体とY染色体を持つことで決まります。


胎児は最初は1個の細胞から出発し、身体の構造を作り上げて行きます。男性のテストステロンは、妊娠期間の中期頃に急激に出現し、発達過程の胎児を男児に作り上げます。

男性のテストステロンが出現する前までは、胎児の性腺は精巣でも卵巣でもない未分化の状態としてあります。


この時強い男性のテストステロンが出現すると、性腺は身体の下方へ降下して精巣となり、弱い男性のテストステロンでは卵巣となって性構造は二分化してゆきます。

男女の外性器は、それぞれ男女の痕跡を持っていることになります。


男性のテストステロンは、性別を分けた後も男性性の程度に影響を与えます。男性性や女性性とは性別を意味しません。男性の中にも女性性があり、女性の中にも男性性があります。

男性のテストステロンは、この事に大きな影響を与えています。


例えば「男勝りの女性」という言い方をされる女性たちがいます。この様な女性達は、男性に交じって活躍している人が多いこと、その子供は息子が多いこと、などが報告されています。

これはどういう事を意味しているのかと言うと、男勝りといわれる女性は男性のテストステロンのレベルが高く、ミス○○の代表の人達は男性のテストステロンのレベルは低くてエストロゲン(女性ホルモンの1つ)のレベルが高く維持されており、それらが子供たちに遺伝されているという、興味深い内容です。



◆ テストステロンが身体に与える影響


男性のテストステロンは生殖システム、甲状腺、血液、骨、皮膚及び脳に影響を及ぼしています。

男性により多くの筋肉を与え、筋肉に酸素を運ぶために、より多くの赤血球を与えています。


女性の場合、男性のテストステロンはエストロゲンと関係して、感染や疾病に抵抗する免疫システムを与え、腎、腰、腿に脂肪を蓄えさせます。

この部位の脂肪は、妊娠や授乳期のときの食糧不足を補うことに役立っています。ミス○○の代表のウェストやヒップはくして生まれてきました。


生涯を通じての男性のテストステロンのレベルは20歳くらいで最大ピークを迎え、男女とも、その後降下の一途を辿ります。

レベルのピークは生涯に3回あります。1回目は胎児の中間の時期、2回目は出生数ヶ月後、3回目は思春期です。


男女比では、圧倒的に男性に多く、女性の10倍程度の差があります。男性のテストステロンが男性ホルモンと呼ばれる理由です。

男性のテストステロンは、身体的、社会的条件によってレベルに変化が起きてきます。


社会的条件とは、たとえば、重要な競争に勝ったときにはレベルは上昇し、負けたときにはレベルが下降するというものです。


刑務所に収監された人で、暴力的な犯罪者は非暴力的な犯罪者より男性のテストステロンのレベルが大幅に高かった。

攻撃性に関与していると言う意味です。


1回結婚したままの人と、離婚後再婚した人では後者が1,5倍。結婚暦の無い人と、離婚後再婚しない人では後者が1.2倍。

いずれも男性のテストステロンレベルの差です。



◆ テストステロンと脳の関係


テストステロンと脳

男性のテストステロンは脳に影響をあたえ、脳は心に影響を与え、心はその人の行動様式を決定します。

男性のテストステロンは性腺によって生産され、その生産は脳の制御によって管理されています。


具体的に言うと、脳の視床下部は脳下垂体に信号を送り、次に脳下垂体は精巣に男性のテストステロンを生産する様に指示を出します。

この指示は命令ホルモンというホルモンによって行なわれます。この場合の命令ホルモンは性腺刺激ホルモンです。


視床下部は血管や体中にあるレセプター(受容体)からの情報で、今どのくらいの男性のテストステロンが分泌されているのかを知って、少なければさらに分泌する様に、指令通りなら分泌を止めるように、性腺刺激ホルモンの量を微調整します。

丁度ハイテク装置がおこなっているフィードバック制御と同じ事をおこなっているわけです。


視床下部が指令を出してから約20分で男性のテストステロン・レベルは上昇し始めます。

脳下垂体は副腎皮質刺激ホルモンも生産し、このホルモンは1方では副腎に男性のテストステロンを生産させる刺激にもなります。


この様なサイクルの中で、ある人が戦いの準備をしていると、脳は視床下部に、目標値を変更して、男性のテストステロン・レベルを上げるように信号を送ります。

こうして何かある毎に男性のテストステロン・レベルは上下します。


男性のテストステロンの変動の仕組みを知っておくと、性的エネルギーの低下や性的障害の対処する方法に誤解を生じないで済みます。



◆ テストステロンの詳細


男性のテストステロンは精巣で作られますが、一部は副腎でも作られます。副腎はアドレナリンやステロイドホルモンなどの重要な物質を作り出す臓器です。

副腎は女性にもある為、男性ホルモンの一部が作られていますので、女性の体内にも少量の男性ホルモンが含まれています。


男性のテストステロンと呼ばれているものは次の3種類をあわせたものです。

・性ホルモン結合蛋白結合型テストステロン

・アルブミン結合型テストステロン

・遊離型テストステロン


男性ホルモンとして性機能に作用して来るのは3番目の遊離型男性のテストステロンです。


遊離型テストステロンはフリーテストステロンと呼ばれています。

フリーテストステロンは総テストステロンの僅か2%しか有りませんが、男性の性機能だけでなく、身体的・心理的な種々の症状にも影響を及ぼす男性ホルモンです。


男性更年期障害を診断するには血中の男性のテストステロン濃度を測定しますが、測定対象はフリーテストステロンになっています。

その濃度レベルによって、性機能低下の程度が測定できます。泌尿器科で簡単に血液検査を受けられます。



◆ 男性ホルモン(テストステロン)と前立腺


テストステロンと前立腺

男性にとって重要な意味を持つ男性のテストステロンと前立腺の関係は、反比例的な関係にあります。

男性ホルモンは壮年期になると分泌量が減少の一途を辿りますが、前立腺は対照的に肥大して行きます。


フリー男性のテストステロンは20歳16.8pg/ml、50代12.0pg/ml、60代10.3pg/mlと減少してゆきます。

一方の前立腺は20代、30代で約20g、50代で25g、60代で30g、80代では40gと徐々に増加して行きます。


前立腺が30gを超えると、前立腺肥大症となりますが、その発症の平均年齢がちょうど50歳前後となり、男性更年期障害の現れる時期と重なります。

ところで、男性のテストステロンは5α還元酵素によって、より活性化の強いDHT(ディヒルドテストステロン)へと変換されます。


このDHTは、前立腺の増殖と維持をコントロールするものです。

このことから、前立腺にDHTが異常に集積すると、前立腺肥大症となる直接原因になると考えられています。


現在、前立腺肥大症の治療薬として5α還元酵素を阻害する薬が開発されています。

これと似た話、どこかで聞いた事が有る方もいると思います。


男性型脱毛(AGA)と全く同じです。

男性型脱毛の場合は男性のテストステロンが毛乳頭に存在する5α還元酵素(5αリアクターゼ)によってDHTへ変換されます。


このDHTが毛乳頭の毛細血管に作用して血流を阻害。結果、毛根が死んで毛が抜けてしまい、再び再生されない。という理屈です。

で、この5α還元酵素の働きをブロックしたり、DHTの働きをブロックする成分が、ミノキシジルやフィナステリドであり、商品としてはリアップ・ロゲインやプロペシアという事になります。



◆ 余談:歳をとっても精子は作られる


女性の排卵は生涯で400個程度。しかし男性の精子は80歳になっても子孫を残すのに充分な量を生産し続けています。

一体どういう仕組みになっているか。精子には卵子と結びついて子供を作る細胞の外に、ES細胞と同じように、神経や筋肉などを再生する機能もある事が解ってきました。


この細胞は多機能生殖細胞(MGS)と呼ばれています。

このMGSを凍結保存して、抗がん剤や放射線治療後に精原幹細胞に戻すと、不妊にならないで済む可能性もあると言います。


まだマウス実験の段階ですが、将来再生医療に使えると期待されています。

この様に、精子には精原幹細胞と多機能生殖細胞(MGS)が有るのですが、マウス実験が人間に実用化されると、不妊治療や再生医療が飛躍的に進歩します。


ところで、精子はどれだけの量が作られるか?

若い男性は7千万個/日、精子の精原細胞はほぼ無限に増殖することが出来るので、男性は死ぬまで精子を生産し続けていることになります。