前立腺について

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男性更年期障害

前立腺肥大、前立腺肥大症の検査と治療法

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◆ 前立腺の役割と病気


排尿障害と前立腺

ペニスは男性のシンボルと言われます。単に「私のシンボルが・・・」と日常会話で言う場合もあります。


しかし、機能としては「前立腺が男性のシンボル」ということができます。なぜかと言うと、女性の場合、子宮が副性器であるように、前立腺は男性の副性器であると言うことが出来るからです。


前立腺は尿道を包むように取り囲み、膀胱の開け閉めを調整し、尿の出具合をコントロールしています。それだけでは有りません。


男性にとって重要な意味を持つ性機能のコントロールをしています。それが「前立腺が男性のシンボル」の意味です。


精巣で作られた精子は、精巣上体から精管へと移動し、いったん精管膨大部に蓄えられます。前立腺部尿道へ精子が送り出されると、精のうと前立腺からの混合液中で元気を蓄え、運動能力を鍛えます。

性的刺激が脳から伝わると、その刺激によっていつでも放出できる様になっています。


また、前立腺に蓄えられる前立腺液は「精子のミルク」と呼ばれ、精液全体の3分の1を占めています。

この前立腺液によって、精子は保護され、運動エネルギーを貰い、動きを促進させられます。


その成分は、クエン酸、果糖、亜鉛などです。これらの成分が精子の保護、運動の促進に役立っています。

こうして、精巣は精子の生みの親なら、前立腺は精子の親となっています。


前立腺の病気としては、高齢の男性に多い前立腺肥大と前立腺がんが重要な病気としてあります。

この病気は最近、日本でも増えていることが注目されています。



◆ 前立腺肥大症


前立腺

前立腺が大きくなると、排尿のスタートが遅くなり、尿の勢いも弱くなり、切れも悪くなり、頻繁にトイレに通うようになる、特に夜中に何回もトイレに行くなどの症状を表してきます。


前立腺肥大症は50歳以降の男性が多く罹る病気で、広い意味で男性更年期の症状の1つですが、その程度が問題となります。


例えば、ビールをジョッキ1杯飲んだだけでもトイレに駆け込まなければならないとなると、前立腺肥大症の治療が必要となります。


前立腺の位置は膀胱の直ぐ下で、尿道を取り囲むようにあります。輪切りにしてみると、ミカンを真っ二つに切ったような構造をしています。


ミカンの皮にあたる部分を外腺、実にあたる部分を内腺と言います。ミカンの芯にあたる部分が尿道です。

前立腺肥大症になると、内線が尿道を圧迫し、排尿困難や頻尿の原因となります。


前立腺肥大症とは加齢によって男性ホルモンや、男性にも存在する女性ホルモン(エストロゲン)のバランスが崩れ、内腺に良性の腫瘍が出来るものを言います。


自分でうすうす気づいても、場所が場所だけに医師に相談に行けず、悶々と悩む人も多いです。


50歳以降の男性では4人に1人は発症しているといいます。また60歳代では70%、80歳代では90%の人が発症しているというデータがあります。


前立腺肥大症は、尿の出方によって3段階に分けられますので、自分でもある程度判断できます。


1.第一段階:膀胱刺激症状期


この段階では、前立腺の内腺が腫れて来て、尿道を圧迫し、尿意を刺激するため、排尿回数が増えてきます。


排尿後、2時間以内にトイレに行くたくなったら、頻尿と呼ばれる範囲に入ります。この時は、夜間排尿の回数が増えるのも特長です。


人間の体は昼間活動して、夜は眠る様に脳にプログラムされています。昼間に幾ら水を飲んでも、夜中にはトイレに行かないように出来ています。


これは、脳から分泌される抗利尿ホルモン(バソプレッシン)によって制御されています。


ところが、前立腺肥大症の第一段階になると、夜中に尿意をもよおす様になります。夜中に2,3回以上トイレに行く様ならの第一段階の疑いが濃厚になります。


ただし、アルコールの飲みすぎは、抗利尿ホルモンの分泌が抑制される為、夜中に何回もトイレに行く様になります。また、前立腺が充血して腫れ、尿道が刺激され、頻繁に尿意をもよおします。


下で2個以上該当したら、医師の診察を受ける様にして下さい。


・排尿後、2時間以内にまたトイレに行きたくなる。

・特に夜間の排尿回数が増えた。

・尿が細くなった。

・尿の勢いがなくなった。

・最初の尿が出るまでに時間がかかる。

・排尿に30秒以上かかる。


2.第二段階:残尿発生期


前立腺肥大症がさらに進むと、排尿し終えたつもりでも、なかなか出し切れなかった感じが残ることがあります。


これが残尿感です。これは、膀胱を収縮させる筋力が弱まり、膀胱に滞留している尿を完全には排出出来なくなった証拠です。


この段階を残尿発生期といいます。膀胱にカテーテルを入れて、残尿を取り除く方法があります。中にはこれで300〜400CCの残尿を認める場合もあります。


排尿を終えた時、残っていた尿が漏れて下着を濡らすことがあります。


これは、肥大した前立腺が尿道を圧迫し、でこぼこの窪みに留まっていた尿が漏れるためです。尿切れが悪くなって起こる現象です。


3.第三段階:膀胱拡張期・慢性尿閉期


さらに進んで、カテーテルで取り除く尿が400CCを超える様になると、膀胱の筋肉が延び切って、異常に拡張してしまっている状態が生じます。


尿意や苦痛を感じなくなってしまい、慢性尿閉という状態になります。時に溢流性尿失禁といって、膀胱に溜まった尿が溢れて漏れてくることもあります。


膀胱に溜まった尿を排出出来ないため、膀胱内圧が上昇し、腎臓へ悪影響を与えます。ひどい場合は腎不全となり命を脅かす危険な病気を併発する事もあります。


(まとめ)

前立腺肥大症といっても、進行して行くといろいろな危険性があります。

症状を纏めると「頻尿」「排尿痛」「残尿感」「排尿困難」が特長として挙げられます。


前立腺肥大症になると、膀胱内の全ての尿が排尿されるという訳には行かなくなり、膀胱内に残った尿は、膀胱内の容量を減少させてしまっています。


こうして頻尿が起きて来ます。夜間頻尿は2回程度なら正常範囲内であり、それ以上でしたら医師の診察を受けた方が良いです。



◆ 代表的な前立腺肥大症の検査


1.検査


前立腺肥大症

ほかの病気と同様、前立腺肥大症でも問診が重要になります。通常は国際前立腺症状スコア(IPSS)と言う問診表を用いて行なわれます。

問診項目や約7項目で、主に排尿障害の症状の有無を診ます。


2.直腸診


前立腺の大きさを診るもので、最も簡単な方法が直腸診です。直腸から直接指で前立腺に触れてみる方法です。


患者さんにとっては不快な検査ですが、進行した前立腺肥大症や前立腺がんの発見には、必須の検査です。


3.検尿


尿路感染症を合併していないかがハッキリします。尿路感染症では、尿汚濁があり、尿中に白血球や、赤血球、細菌が見られます。


検尿によって、前立腺肥大症でも前立腺がんでも、時に血尿がみられます。


4.エコー検査


この検査法は患者さんの痛みが無く、体内の情報をリアルタイムに観察できる方法です。

前立腺の大きさや、膀胱内腫瘍や結石の有無、残尿の有無などが一目瞭然とします。


しかし、前立腺がんや肥大症についてより情報を得るには、肛門より超音波装置を挿入して検査します。


5.内視鏡検査


内視鏡検査の代表的なものは膀胱鏡です。



◆ 前立腺肥大症の手術


前立腺肥大症の手術

前立腺肥大症と言っても、頻尿や尿切れの悪さ、尿漏れである場合は、治療の第一選択肢は薬物療法で、症状の改善がかなり得られます。


前項の第一段階から第二段階の軽いうちは、薬による治療が可能ですが、第二段階後半からは手術が必要となってきます。


手術が必要なケースは以下の様になります。


・残尿が常に100CC以上ある

・何回は尿閉を起こし、カテーテル処理が必要なことがある

・尿路感染や膀胱結石が生じている

・腎臓の機能障害を起こしかけている



手術法


現在では内視鏡に接続されたテレビモニターで、様子を確認しながら尿道を圧迫している腺腫を切除してゆく経尿道的前立腺切除術が主流です、


出血部位を電気で焼いて止血するので、回復手術の様な出血を覚悟する必要がありません。


通常、50gの前立腺を手術するのに、1時間程度で済み、また腰椎麻酔をかけるので、痛みは感じません。

入院期間は3日から長くて2週間程度です。


前立腺肥大症の手術を受ける患者さんは、高齢者が多く、また心臓血管系や脳梗塞などの合併を有していることがあります。

この場合には、この手術を粉得ないことがあります。


そうした患者さんには、前立腺を80度位の高温に熱して、前立腺肥大の元である平滑筋の蛋白質を変性させて排尿障害を治療する高温度治療を行なう場合があります。


この治療は経尿道的前立腺切除術に比べて即効性は無いものの、術後数年は排尿障害に有効です。